スプリットトンネリングとは?VPNの便利機能を解説

VPNは通常、デバイス全体の通信を経由させます。しかし、それでは不便な場面もあります。「このアプリだけVPNを通したくない」「国内サービスはそのまま使いたい」——こうした要望に応えるのが、スプリットトンネリングという機能です。

この記事では、この機能が何をするものか、どんな場面で役立つのかを解説します。

スプリットトンネリングとは

スプリットトンネリングとは、通信の一部だけをVPN経由にし、残りは通常のインターネット接続のままにする機能です。

通常のVPNは「全部か、無しか」の二択ですが、この機能を使うと、アプリ単位や通信先単位で振り分けができるようになります。

なぜ必要になるのか

VPNをすべての通信に適用すると、次のような不便が生じることがあります。

国内サービスの利用に支障が出る

海外サーバーに接続していると、日本国内向けのサービス(銀行、行政サービスなど)が、海外からのアクセスとして扱われ、正常に使えなくなることがあります。

一部のアプリの動作が不安定になる

一部のアプリは、通信経路が変わることを想定していない設計になっている場合があり、VPN経由だと不具合が出ることがあります。

すべての通信を暗号化する必要がない場面もある

例えば大容量のファイルをダウンロードするだけの通信で、暗号化の負荷をかけたくないという場合もあります。

主な設定パターン

スプリットトンネリングには、いくつかの設定の仕方があります。

アプリ単位で指定する

特定のアプリだけをVPN経由にする(または経由させない)方法です。

例:動画配信アプリだけVPN経由にし、銀行アプリは通常の接続のままにする

通信先(ドメイン・IPアドレス)単位で指定する

特定のウェブサイトやサービスだけを対象にする方法です。

例:海外の動画配信サービスへのアクセスだけVPN経由にする

除外方式で指定する

「これ以外はVPN経由」という逆の指定方法です。国内サービスだけを除外リストに登録する、という使い方が一般的です。

具体的な活用シーン

シーン設定の考え方
海外サーバー接続中に日本の銀行を使いたい銀行アプリを除外リストに追加
動画は海外サーバー、他は通常接続動画アプリだけVPN経由に指定
会社のVPNと個人のVPNを両方使う業務アプリは会社VPN、他は個人VPN経由に振り分け
ローカルネットワーク上の機器と通信したいローカル通信をVPNから除外

メリットと注意点

メリット

  • 国内サービスと海外サービスを同時に快適に使える
  • VPN経由にする範囲を絞ることで、速度への影響を抑えられる
  • 特定のアプリの不具合を回避できる

注意点

保護される範囲が狭まるという点は理解しておく必要があります。除外した通信は、VPNの保護(暗号化、IPアドレスの変更)を受けません。

公共Wi-Fiなどセキュリティが気になる環境では、除外設定を最小限にとどめるか、機能自体をオフにして全体を保護することをおすすめします。

設定する際の考え方

まず全体をVPN経由にする

基本方針としては、まず通信全体をVPN経由にしておくのが安全です。

不便が生じたアプリだけ個別に除外する

実際に使ってみて、特定のアプリで不具合や不便を感じたら、そのアプリだけを個別に除外設定します。

除外リストは最小限に

除外する対象が増えるほど、保護される範囲が狭まります。本当に必要なものだけに絞りましょう。

提供状況について

スプリットトンネリングは便利な機能ですが、すべてのVPNサービス・すべてのプラットフォームで提供されているわけではありません。

一般的に、モバイル向けのアプリでは提供されているケースが増えていますが、パソコン向けでは提供状況が異なる場合があります。利用しているアプリの設定画面で、該当する機能があるか確認してみてください。

まとめ

スプリットトンネリングは、通信の一部だけをVPN経由にし、残りは通常の接続を維持する機能です。国内サービスと海外サービスを併用したい場合や、特定のアプリの不具合を回避したい場合に役立ちます。

一方で、除外した通信は保護の対象外になるため、設定は必要最小限にとどめることをおすすめします。まずは全体をVPN経由にし、不便を感じた部分だけ個別に調整するという進め方が現実的です。

FAQ

スプリットトンネリングを使うと安全性は下がりますか?

除外した通信については、VPNの保護を受けなくなります。除外する範囲を最小限にすることで、影響を抑えられます。

すべてのVPNアプリにこの機能はありますか?

サービスやプラットフォームによって提供状況が異なります。利用しているアプリの設定画面を確認してください。

アプリ単位と通信先単位、どちらで設定すべきですか?

目的によります。特定のアプリだけを対象にしたい場合はアプリ単位、特定のサイトだけを対象にしたい場合は通信先単位が適しています。

除外設定を忘れてしまいそうです。どうすればいいですか?

設定を確認できる場所をブックマークしておく、定期的に見直す習慣をつけるといった方法があります。不安な場合は機能自体をオフにし、全体を保護する運用がシンプルです。